2017年1月29日日曜日

兵庫労山・救助隊 雪上搬出訓練2

1/29(日)
5時起床、7時出発です。この日は時間が早かったので路肩駐車場はまだ満車にはなっておらず、昨日と同じ場所に駐車できました。

2日目は昨日学んだことを実践します。
今日もいいお天気です。昼からの雨予報が嘘みたい。


写真では見えにくいですが、訓練場所手前の斜面に広範囲にデブリがありました。雪崩注意です。


本日の訓練は堂満岳中央ルンゼとの出合で行います。
デブリがあったのでまずは訓練場所が安全かどうか見極めるために弱層テストから。
全国の雪崩講師の資格を持つ我が会の会長から指導を受けます。
弱層テストには何種類かありますが、シャベルコンプレッションが一番良いそうです。
理由は・・・聞きそびれました。


テストの結果、雪崩の危険はないとのことだったので訓練を開始。
要救助者の搬出準備班と引き上げシステム(1/3システム)準備班に分かれます。
私の班は要救助者の搬出準備から。
要救助者のシート梱包、スケッチャーへの移乗を行います。
昨日みっちり練習しているので、グループ全員が協力し合い、手際よくできました。
要救助者の搬出準備ができたら、引き上げの訓練。
引き上げシステム(1/3システム)準備班が斜面の上で確保支点を作ってロープをたらしておいてくれていたので、そのロープにスケッチャーをつなぎます。
確保支点はしっかりした木で、2カ所からとっているのでロープは2本です。
引き上げの時は誰か1人サポートにつきます。ロープを操作している人に声掛けして引き具合を調整してもらったり、スケッチャーの向きを修正したりなど、安全に引き上げが行われるように働きます。この人はスケッチャーにセルフビレイをとっておき、スケッチャーとともに引っ張り上げてもらいます。私は頭側にセルフをとりましたが、足下にとったほうがひっぱってもらいやすいと思いました。

支点についたら、次は下ろします。サポーターはスケッチャーが斜面の方向のままに行ってしまわないように、ちゃんと降下地点に着けるように向きを調整したり、ロープの繰り出しを調整してもらったりします。

降下地点についたら、引き上げ班と交代します。

アイディ(パニック防止機能付きセルフブレーキ下降器)を使っています。ロープセットの向きが図で示してあるのでそれに従います。
引き上げはロープを引っ張り上げ、戻しての繰り返し。もう1本のロープとのバランスが大切です。2本のロープのバランスが崩れるとスケッチャーがひっくり返ってしまいかねません。

下降はアイディを操作しながら下ろします。レバーを操作してスピード調整をするのですが、慣れないためぎこちなくなってしまいます。レバーを強く引くとパニック防止機能が働いてロックがかかってしまうのですが、何度もそれが起こってしまいました。なかなか難しい。

引き上げ・下降の後はイン谷口までの搬送です。
途中垂直の斜面がありました。上でアイディを使って確保しながら、サポートも付いて慎重に下ろします。スケッチャーの中身は荷物ではなく、県連の理事長です。本番さながらです。墜落させるわけにはいきません。



下からも見守っています。

無事に下ろせました。

搬出時はスケッチャーの前後左右にサポートが付き、安全確保を行います。
前サポーターは上り、平坦路ではロープを引っ張ります。後ろサポーターは下りではブレーキ役となります。左右のサポーターは前後2つずつの持ち手を担当し、方向修正、引っ張り役、ブレーキ役を適宜担います。

また、昨日学んだ立ち木を利用しての確保も行います。
ロープを出しすぎてスピードが付きすぎたり、制動をかけすぎて進まなかったりと、ベストスピードというものがなかなかできません。スケッチャーが進んでいってしまうと声も届きにくくなるし、伝令役が必要だなと思いました。
ロープが残り10mをきったら次のビレイヤーが適当な立ち木を見つけてビレイ体制に入らないといけないのですが、慣れていないのでもたついてしまうのです。時間ロスをしないように迅速に交代しないといけないと指導を受けました。

みんなで協力して搬出しています。

要所要所で救助隊の方々の指導を受けながら、交代交代代わる代わるいろんな役を経験して、学んでいきました。
そして、雨が降る前に理事長を無事に救助することができました。

去年に引き続いて今年も参加させてもらいました。
去年学んだことをどれだけ覚えているのか不安でしたが、割と思い出すことができ、去年よりスムーズにできたかなと自己満足。
とても充実した2日間でした。ご指導ありがとうございました。

2017年1月28日土曜日

兵庫労山・救助隊 雪上搬出訓練1

兵庫県連救助隊主催 雪山搬出訓練

9時に比良駅に一旦集合し、イン谷口へ。
高速手前から既に路駐の大行列。そこには警察官の姿が・・・
車を降りて先まで偵察に行ってみる。県連の仲間が路駐すると駐禁切符を切られるのかどうか警察官に確認しているところに出くわし、盗み聞きしてみる。どうやら警告シールのみで逃れられそう。
別の仲間が奥まで突っ込むと言っているので、私達も後に続く。
トレースがなくなり、これ以上車が入れなくなったところまで行き、路肩の雪かきをして車を駐車する。ここまでで一苦労だ。



準備をして出発。今日は最高のお天気だ。
イン谷口へ移動し、2班に分かれて訓練開始
 
私の班はシート梱包から。
これは要救助者を搬出する前の準備。救助者の保温のためにフライで包みます。
さらに快適性を増すために個人マットを敷きます。

搬出中に足がぐらぐらしないようにくくります。


膝の下にもクッションとなるようなものをかませ、枕も置いてあげます。
救助中に少しでも安楽な姿勢でいられるようにポジショニングしてあげます。
寒い時期はシュラフに入れてあげて、保温します。
要救助者をフライでしっかりと包みます。足下と頭はキャンディ巻きをします。
先っぽまでしっかりキャンディ巻きをして折り返し、クローブヒッチでくくります。
このときクローブヒッチは使用するロープの半分のところで行います。
包んでいきます。丸いのは雪玉です。膝と臍のあたりに雪玉を置き、クローブヒッチで留めていきます。このとき合わせ目はしっかり閉じること、クローブヒッチもしっかり締めること。搬出中にゆるんでほどけることがないように。

見えにくいですが、鎖骨のあたりにそれぞれ雪玉をおいてとめます。
頭も足下と同じでキャンディ巻きを折り返してクローブヒッチで縛る。

 胸元が開くようであれば、ここも雪玉を使用し単体のスリングで縛る

スケッチャーに乗せる。
この時はヒューマンチェーンで移乗。片方に2人、もう片方に3人が立ち、お互い手をつないで担架様のものを作り、そこに乗せる。要救助者を落とさないようにかけ声を掛けながら、ゆっくりと移乗させる。
スケッチャーは黄色い紐にグレーのホースみたいなのがついている方が頭側です。
スケッチャーでも包み、バンドで固定します。頭側の黄色い紐はくくって留めておきます。。






スケッチャーにロープを通します。伸びると引きづらいのでこの時はスタティックロープを使用します。使用するロープの真ん中にエイトノットを作ります。頭側からスケッチャー横の穴に外からと内からと交互に通していきます。手綱のところは手綱の中を通します。
足元は本結び。この時本結びが緩みやすかったので、しっかり締めないといけない。





次は救助隊の装備を使って1/3システム




ブッシュを使っての支点の取り方も学びます。
最初にタイオフして、ハーフヒッチを2回。


翌日使うこれは電柱ですが、山中では木を使用。木の摩擦を利用してスピード調節します。


次はビーコン訓練。
まずビーコンチェックを行います。雪山では出発前に必ずこれを行います。
まずはリーダーが発信モードにし、メンバーは受信モードにしてリーダーの電波をきちんと受信できているかを確認。
次にリーダーは受信モードにし、メンバーは発信モードにしてリーダーの前を通って出発します。リーダーはメンバー全員の電波を受信できていることを確認し、自分も発信モードに変更して歩き始めます。
注意しないといけないのは、お互いの電波の周波数が大きくズレていると電波をキャッチしにくくなります。なので、よく行くメンバーとはなるべく周波数を合わせておくのがよいそうです。



このあと埋められたビーコンを探す訓練をしました。
ビーコンが埋没者の電波を受信したとき、15mくらいまでは走って行きます。そこから2mまでは歩いて探し、2mをきるとビーコンを雪面につけて捜索します。さらに範囲を絞れたら、最後はクロス法で埋没地点を特定します。
はじめはビーコンを1つだけ埋めて行い、次にビーコンを2つ埋めました。2つになると難易度は一気に上昇。もっと増えたらお手上げ状態になること間違いなしな感じでした。ビーコン訓練を行うたびに毎回思うのですが、自分のビーコンの使い方を把握し、ビーコン訓練を繰り返し行うことが大切ですね。
最後は実際に人間が埋まり、プローブが人間にヒットした時の感触を実感します。
そして埋没者を救助します。プローブは刺したままで雪を掘り出します。ここで注意しないといけないのはむやみやたらに雪を掘るのではなく、5㎝ほど雪を残して掘ることです。雪に埋まるととても寒いと思われがちですが、雪洞の中が暖かいのと同じで、外よりも雪の中のほうが暖かいのです。なので、いきなり外に出すと埋没者の命が危険にさらされることになります。5㎝ほど残して掘ったらツェルトをかけてあげて、残りの雪はツェルトの下から手で掘ります。そしてツェルトでしっかりと埋没者を包んで助け出します。

これにて1日目の訓練は終了。

泊まりは琵琶湖畔の1軒家を貸し切り。楽しい仲間たちとの宴会です。大量のビールや日本酒があっという間になくなりました。